藤が丘を愛する人たちが語り合う、この街の魅力とこれからについて
2022.08.26
「藤が丘まちづくり協議会」会長・柴田達男さん
「NEEDLE&THREAD」「Meji」店主・片桐好章さん、秀弥さん
地下鉄東山線が「星ヶ丘駅」から延長され、「藤が丘駅」が誕生してから50年以上。ここ藤が丘は、多くの人が暮らす街へと発展してきました。今年秋には、隣接する長久手市の「愛・地球博記念公園」内に「ジブリパーク」(第1期)のオープンも控え、ますます藤が丘の街も活気づくと期待されています。今回は、70年以上にわたり藤が丘に暮らし「藤が丘まちづくり協議会」の会長を務める柴田達男さんと、2005年に東京からUターンし、藤が丘で「NEEDLE&THREAD」と「Meji」というライフスタイルショップを営む片桐好章さん、秀弥さん夫妻に、藤が丘の魅力とこれからについてお話を伺いました。
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藤が丘の街の大きな“ターニングポイント”
柴田さん:私が幼い頃、昭和30年代の藤が丘には田園や雑木林、ため池などが広がり、多くの人が兼業農家として働いていました。転機となったのは、1966年に藤森東部土地区画整理組合ができ、3年後の1969年に地下鉄を誘致できたこと。それ以降、駅前には「松坂屋ストア」(現、マックスバリュ藤が丘店)や「藤が丘effe」などのスーパーをはじめ、個人商店が続々と誕生。戸建てや企業の寮などが建てられ、近隣には大学もでき、県内外から多くの人が移り住むようになりました。こうして多様性のある藤が丘の礎が築かれたのです。
片桐好章さん(以下、好章さん):僕たちが東京からUターンした2005年に、ちょうど開催された「愛・地球博」も大きな転機の一つだったと思います。東部丘陵線(リニモ)が開通し、隣の長久手市にも多くの人が移り住み、商業施設も多数オープンしました。僕は名古屋の中村区出身なのですが、様々な人たちが集まる藤が丘に、中目黒や吉祥寺のような“遊びに訪れたくなる街”になり得るポテンシャルを感じて、ここにセレクトショップを開くことを決意したんです。
片桐秀弥さん(以下、秀弥さん):私は東京の出身で、2005年に初めて藤が丘を訪れました。駅から放射状に街が広がり、駅と居住エリアの距離が近いと感じました。生活に必要な商店や施設は身近にそろい便利でありながら、東京に比べて街がゆったりとしていて、時間の流れも穏やか。とても暮らしやすそうな街だなと思ったのを覚えています。
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長年、藤が丘に暮らして感じる魅力とは?
柴田さん:なんと言っても、栄や伏見、名古屋に直結する地下鉄東山線の始発駅であること。毎朝座って通勤通学ができ、名古屋の都心部までは25分前後で到着できます。東名など高速道路へのアクセスも良く、岐阜や長野、静岡などの近県への移動もスムーズ。私はゴルフが趣味なのですが、藤が丘からは混雑する名古屋の中心部を通ることなく、近隣のゴルフ場へ行くことができます。また、商店や金融機関など、生活に必要な施設がそろうだけでなく、医療機関が多いのもありがたいポイントです。
好章さん:名古屋の都心部だけでなく、自然豊かな近隣のスポットへも訪れやすいのが、藤が丘の魅力です。例えば、親子で気軽にハイキングが楽しめる「猿投山」(豊田市)や、川をせき止めた天然プールが人気の「岩屋堂公園」(瀬戸市)、陶芸体験ができる「愛知県陶磁美術館」(瀬戸市)、ピクニックにおすすめな「愛知県森林公園」(尾張旭市)など、車で20〜40分の距離に、美しい渓谷や山などの自然があり、気軽にリフレッシュできます。秀弥さん:藤が丘駅から歩いて5分ほどの街中に、自然の雑木林が残る「明が丘公園」があるのも嬉しいですね。公園の真ん中には小高い丘があり、子どもたちが「今日、明が丘公園の山を登った!」と話しているのを聞くと、なんだか嬉しくなります。地下鉄に乗れば「東山動植物園」にもすぐに行けます。藤が丘に暮らす方の中には、年間パスポートを持っている方もけっこういらっしゃいますよ。
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これからの藤が丘の街の展望について
柴田さん:今年秋に「ジブリパーク」(第1期)が開業すると、国内だけでなく海外からも、より多くの人が訪れるようになるでしょう。近隣の長久手市などの人口もさらに増え、ターミナルである藤が丘駅を利用する人が増加すると予想されます。藤が丘の駅前エリアは、より賑わいを増していくと考えています。一方で、藤が丘駅ができて50年以上が過ぎ、その頃に整備された街のインフラが更新時期を迎えています。代替わりを迎える商店なども増えています。これから10年、20年先に向けて、どんな街を目指していくのか。自治会ではすべての会員の皆さんにアンケートを取って、素案をまとめていこうと動いています。好章さん:藤が丘に暮らして感じるのは、老若男女問わず、“藤が丘愛”を持っている方が多いということ。最近では、転勤がきっかけで藤が丘に暮らし始めた家族が、街の住みやすさに惚れ込み、住宅を購入して定住するという話をちらほら聞きます。藤が丘が好きで、この街に暮らす人たちが、より暮らしやすくなるような街にしていきたい。そのためには、若い世代が、自治会など地域の活動にもっと気軽に関われるようにしていくことが大切です。その架け橋の役割を、僕らが担っていけたらと考えています。
秀弥さん:これからより多くの人が藤が丘に集うようになったとき、人と人とをつなぐ拠点が、藤が丘の街中にできれば、より魅力的な街になっていくのではないかと思います。子育て中のお母さんや単身で暮らす方、高齢の方など、あらゆる年代の人が集まれる施設ができればいいなと思っています。今回の座談会は「リニモテラス公益施設」で実施しました。リニモテラス公益施設内では、以前ユリノキタイムズで紹介した「tori8coffee」の2号店が営業中です。